何から話せば良いのだろう…


 12月7日朝、夫を送り出した後、今日は残ってる仕事を早めに消化し、またナナとルークの所に励ましに行こうと思っていた。
 午前8時過ぎ、母から
「ルークがぐったりとなって、病院まで持つかどうかわからないから覚悟して」
と言われ、私もすぐ支度を始めナナをミニゲージに入れ病院へ向かい歩き出した。
 昨日とは違い今朝は大雪となった。ナナも不安げに私の顔を見上げ、鳴く。
 父が途中まで車で迎えに来てくれていたので助かった。
 私は病院に着くなり涙がハラハラと溢れ出し、ルークのいる診療台に向かった。
 そしてルークの診察をしていたのは、あの一度担当を断った獣医だった。でも私達は思いと裏腹に先生にすがり付く。
 今日まで予定していた点滴は中止、「家に連れて帰って休ませてあげなさい」と栄養剤の注射をうってくれた。そして夜に自宅に往診に来てくれると言う。

 母の話によると、7日の午前3時頃からルークは嘔吐を繰返し、その内容物が2・3日前の与えた餌だったそうだ。もう全然、腸に流れていなかったのである。
そして、すごく歯軋りをしていたという。後で先生に聞いたら痛みをこらえていたと言われ、またまた涙が溢れる。

 私は一度自宅に送ってもらい、必要な物を持ち、実家に行った。
 ルークは意識朦朧と寝ている。時折、痙攣のような動きをする。痛さと闘っているのだ。
 夕方4時過ぎ、上半身を起こし頭を2、3回グルグル回し、床に頭を打ち付ける。
 前足、後足をもがくようにバタバタする。でも決して声は出さないでこらえている。
 そして舌を口からダラリと出し、口から泡をふいている。家族は覚悟した。
 「ありがとう、辛かったね、よく頑張った、幸せだった、楽しかったよ」
と銘々がルークに叫ぶ。ナナはその上を飛び回っている。
 でもルークはまだ8歳、心臓はまだ元気のはず。痛みが治まったのか、また眠り始めた。