記憶とは曖昧なもの

 父の初七日の時に、お坊さんが祭壇の前に座り
 「あーーっ」
 と声を出した。


 「な、何かあったのかな?」
 と思ってお坊さんに聞くと……


 父が亡くなった知らせを受けてお経をあげにきてくれ
 その際、祭壇前に掛け軸をかけてくれたのです。


 それがこれなんですけれどね、
 なんと、父の寝ていた部屋に、同じ意味を持つ絵が
 飾られていたのです。
 


 綺麗に撮れてはいませんけれど、この絵なんです。
 うちのは、絵のコピーみたいなものなんですけれど、
 この絵自体が国宝なので、この掛け軸より格が上ですと。


 母が京都に行って買ってきたもので、どこで購入したか
 覚えておらず、私とも行っているけれど、買っていた記憶がないので
 違う時だねって話していたんです。
 何故だかさっき、急に思い出しネットで色々と調べてみたら
 「禅林寺所有」となっており、別名「永観堂」で有名な所です。
 母と旅行したとき、行ってました。
 私の目的は「見返り観音」で、次の部屋かな、次の部屋かなって
 ワクワクしながら行くと、大きな広間にありました。
 でも、77センチと小さく「あれれれー」と思った記憶が。
 だってパンフレットにアップで出ていたから、てっきり見上げるぐらいの
 大きい観音様かと……。
 私はそこで、テレホンカードを買った記憶がありますが
 母がそこでまさか絵を買っていたとは気づきませんでした。
 (一言訓みたいなのは知ってましたけれど……)


 お坊さんが、
  「この絵があったから、ちゃんとお迎えが来て
   だから安らかなお顔していたんですね」
 って。



 『絹本著色山越阿弥陀
  (けんぽんちゃくしょくやまごえあみだず)
  掛軸 絹地に顔料 138.0×118.0cm
  13世紀 鎌倉時代



 ナナ:「へぇー、知らなかったチュチ」
 りん:「こくほー? お宝鑑定団に出れるチュピ?」
 ナナ:「ウケケケケケ〜」


 ナナ:「じいちゃん、寝ているみたいだったチュチ。
     阿弥陀様ありがとう」 



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