がっちりと握られた手

 今日は午後から施設に義父を迎えに行き、
 父の見舞いに行ってきました。


 母が午前中電話をくれて、
 今日、腎臓から尿を出す手術することになったと。
 もしかして、そんな日に義父を連れてお見舞いは無理かな?
 と思ったけれど、ダイジョウブだよと言われたので
 予定通り14時頃に着きました。


 ちゃんと意識もあって、
 術後のため、体はあまり動かせなかったのですが、
 私の父と車椅子の義父は、手をがっちり握って
 お互いの気持ちを伝えていたようです。


 父は手術から時間があまり経っていなかったのか血尿で
 痛々しく感じられましたが、声も大きく、
 左手の人差し指にチョンと赤く、指先が光っていたので、


 「あら、そのETみたいな指はなんだ?」
  
 
 と父に聞きました。
 本当はなんとなくわかっていたんですが、
 隣りのベッドの患者さんの世話をしている看護師さんが


 「指酸素です!」


 とご丁寧に教えてくれました(笑)
 今日の看護師さんは、イマドキの子って感じでしたよ。
 あっ、会話の仕方の事ですよ。


 父と義父が帰る時に、またガッチリ握手していたのですが、
 「指酸素」の指が圧迫されるのか、
 ピーーーって苦しく鳴いていました。
 だから父は逆の手を伸ばして再度握手していた姿が
 可愛かったです。


 義父は、
 「こんなに力強く握られるなら、まだまだ大丈夫だ」
 と言ってくれました。


 でも、さきほど母から電話があり
 今日主治医の先生から


 「もう抗がん剤治療はできない……」


 と言われたそう。
 それを聞いて、今、すごくショックです。
 だってね、
 火曜日に先生のこれからの治療方針と現状を
 聞きに行ったばっかり。
 患者家族としては

   昨日の今日みたいな日数しか経ってないのにどーゆーことよ


 って言ってやりたい気分。


 でも、これが一番父が長生きできる最高の方法なんだろうな。
 抗がん剤を無理して投与して、苦しい思いをするなら
 家に戻れるような体調に戻して……
 って感じなんだろうな。


 あー、でも、まだ父が数ヵ月後にいなくなっちゃうなんて
 想像もできないし、気持ちの整理もつかないよ。