聞きたくなかった言葉

 今日の内容は少し長いです。
 興味の無い方、あるいは落ち込んだ気分の方は
 読むのを止めてくださいね。



 昨日の夕方、父の病院の主治医から話がありますと
 言われて、母と2人で行ってきました。
 決して良い話ではないだろうという事はわかっていました。


 まずは、
 前立腺のガンの数値が下がっているのに、ガンが小さくならない。
 通常の人は、ホルモン療法を2年ぐらい行い、
 それから抗がん剤治療というステップに移るので、
 ガンと診断されて、3カ月で抗がん剤治療に入るということは
 異例の速さだということ。
 そして、父は10人に1人ぐらいの
 ホルモン療法が全く効果ない患者だということ。


 抗がん剤治療は、延命の治療だから少しでも遅らせたかったけれど
 かなり悪質な癌らしく、どういう作戦でガン細胞と闘えば効果が
 あるのか難しいと。


 8月23日に熱を出し、また肺炎もあり入院したのですが、
 ひどすぎる肺炎らしいんです。
 その肺炎が何故起きるのか、どこが原因かも確定できない。
 「肺気腫が原因ですか?」
 と聞いたところ、
 確かに肺気腫はあるけれど、この程度では毎回肺炎にはならない。
 肺にはガンは転移していない。
 体力を回復して、抗がん剤再開したいけれど、
 量は少し減らして様子を見たい(体の負担を考えて)


 けれども前回の入院で肝臓の転移は発見されたので、
 全く治療に効果のない場合、
 余命は3カ月と言われました。
 聞きたくなかった言葉です。


 先生が毎回の診察の時、余命の事については
 父には話していないと思うのですけれど
 今回私達に話してくれた治療方針を説明すると
 何のためらいなく


 「あー、いいですよ。先生の思う通り治療して下さい。
  先生を信用していますから……」


 と答えるらしいんです。
 だから先生の方が反対に気にしてくれて


 「治療方針に対して、ご家族に何か治療に不安があると
  言ってないでしょうか」


 と聞かれました。
 父が前向きな患者なのに、治療がうまくいかなくて早くなんとか
 したいと。 


 その他、
 前立腺ガンが大きくなると、裏側が直腸なので癒着した場合
 人工肛門にする必要がある。
 現在尿管から管を通しているが、そこからバイ菌が侵入する
 ので、違う部分から繋いで尿を排泄した方が安心かもと
 言っていました。


 実は日曜日の夕方、父の所に言った時、
 強い痛み止めの薬のせいで恐い夢を見たのか
 自分がどんどん暗闇の中に落ちて行き、

 「あー、俺は死んじゃったんだなー」

 と思ったそう。
 その夢の最中、看護師さんに体を拭かれていたらしく
 感触はあったみたいで、湯灌されていると思ったって。
 でも、周りに母や私がいないから
 「どうしていないのだろう」
 と思っていたそう。
 看護師さんは、2時間以上無反応で返事がまったく
 なかったと後で教えてくれました。
 その何回かの呼びかけが良かったのか、
 暗闇の中から、看護師さんが父の名前を呼ぶ声がようやく聞こえて
 自分の体がふわーっと浮き上がり、目を開けたらしいんです。


 「あー、俺、戻ってきたー」


 と思ったそう。
 その直後に私達夫婦がカーテンから顔を出したので
 父は泣き出してしまったのです。
 もう、異常に興奮していていたので、
 とりあえず何も否定せず、
 「うんうん」と聞いてあげました。
 

 「そこに川はあった? 花は咲いていた?」
 「誰か迎えにきてくれていたの?」


 なんて少し落ち着いてから聞きましたけれど、
 とりあえず暗闇の中だったというので、
 誰にも合わなかったと……。
 思うように回復しない自分の体、
 いつ死んでしまうのかという恐怖が
 こんな夢を見させたのではないかと思います。


 とりあえず、夫には自宅に戻ってもらい、
 私はしばらく病室に残り、
 夕食を食べさせ、薬を飲ませ、熱を測ったり
 看護婦きどりみたいな事をしてから、帰宅したのですよ。
 

 こんな病気の治療のブログ、関係ない人が読んだら
 全くつまらないと思います。
 でも、父が闘っているしとして、私の記録に残しておきたいので
 ご了承ください。


 最短余命は短いですけれど、父は元旦生まれなんで、
 誕生日を自宅で迎えさせてあげたいです。
    

 そんな主治医からの説明を聞いて、母もショックでしょうから
 私はナナとりんを連れて実家に泊まりました。
 昨日は気丈にしていましたし、なんだかグッタリと疲れが出て
 9時には2人で寝てしまいました。
 そして、今朝になって泣き、
 病院に行く前に泣いていました。
 (多分1人の時も泣いていると思います)

 私が、
 「そんな、死んでもいないのに泣くんじゃない!」
 と母を一喝した『鬼娘』です。


 あっ、最後の最後で 好感度 落ちたかしら?
 でもね、これが現実です。
 悲しい顔をして病院に行ったら、父に気づかれてしまいます。


 家族の笑顔とその思い、そして私のくだらないオヤジギャグで
 父を楽しい気持ちで笑わせてあげることしかできないです。
 決してあきらめませんよ、はい。


 長くだらだら書いてしまいましたが、
 最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。
 皆さんも、ご自愛下さいね。