小さな魂は……

 今日の午後、ナナとりんを連れて、実家の両親と昨日の現場に行ってきた。
 昼近くから快晴で、少しガスがかかっていた昨日とは違うという。
 「今日来れば良かったな。そしたらオネーチャン(私)も一緒にこれたのに」
 と父が言う。

 ここが現場。
 右手に見えるのが「白樺荘」。
 周りの木々は落葉し寂しい景色。
 手前は全部草のように見えるが、この間に川がある。
 そのせせらぎの音が邪魔して、遠くまで呼ぶ声が聞こえない。
 綺麗な川だけど、そらが水を飲もうとして流れの強い所に降り、
 流されてしまったのかもしれない。

 ナナにも懸命に鳴いてもらう。
 りんは、たまに鳴くがすぐやめてしまう。
 母は、「そらちゃん」と声かけながらエサを撒いていく。
 無駄な事だとわかっていても、建物の陰や草の茂みにうずくまっていないか、探す。
 近隣のホテルの人などに写真を見せながら聞いて歩く。
 そして最後に
 「そらちゃん、寂しかったね、迎えに来たから一緒に帰ろうねー」
 と母が叫ぶ。
 父も、私も、ナナも叫ぶ。
 本当は見つけてあげれたら良かったけど、この山の中ではどうしようもできない。
 私達はそらの魂が、きっと一緒に付いてきていると確信し車に戻った。

 途中、この景色を写真に撮る。
 そらもどこかで見ている景色かも知れないから……

 突然、孤独になった「そら」の気持ちを考えると可哀相で、本当に胸がしめつけられるが、今日行って来て、少し吹っ切れた気分になれた。
 「そらちゃん、また、どこかで会おうね」