2鳥の母

 子供がいない私にとって、子育ての大変さなんて、きっと体験しないまま
 一生を終えるのだと思っていた。
 それが、人間の子供ではなく、インコの子供に悩まされるとは……


 昨晩、りんを実家から連れて来て、そして朝……
 ナナはいつものように早くから目覚めたので、そっとカゴから出し、
 掌の中で少し寝かせる。
 りんは昨日の疲れか、多少の音にも気付かない。

 さあ、起床時間……
 りんも、羽根を伸ばし身支度を始めて、
 「出してチュピー」
 と言う。


 早速、ナナとりんは朝のガブガブ挨拶!
 ナナは自分の家だから、強気に出ている。

 りんは洗濯機の場所の窓の所でゴキゲンにしている。
 外を見ては、何かペチャクチャお話している。
 母の話では
 「りんりん」「おはよう」
 と言葉はハッキリしないが、りんが真似しているという。
 そんな天才的?なりんだが、この洗濯機の後ろの隙間に落ち騒いでいた。
 キャスター付きの引き出しを出せば簡単に出られるが
 私は、床をトントンたたいて
 「りん、りん、こっちだよ」
 と呼ぶと、気付いてりんが真っ直ぐになって歩ける
 スペースしかない所を、歩いて出てきた。
 なかなか、賢いらしい。
 1人遊びをしているとき、私が
 「りんりーん」
 と呼ぶと、嬉しい顔をして、走って寄ってくる。
 そんな姿は、まだまだお子ちゃまですね。

 りんが1人でご機嫌な時は、ナナの自由時間でもある。
 だけど、ナナの声を聞いたり、姿を見ると
 また追っかけが始まる。

 そんなことをしていると、りんが餌の箱をひっくり返した。
 幸い、新聞の上だったが、りんに拾って食べるように命じた。
 すると、ナナも連帯責任だと思ったのか、それがとても
 おいしそうに見えたのかわからないが、一緒に食べ始めた。

 でも、ちょっと油断するとケンカが始まってしまうのですよ。
 几帳面なナナは散らかされるのが嫌なのかも知れません。

 ナナもきっと、多少のストレスは感じているのだと思います。
 なるべくナナの事を連れ歩いて、ナデナデやマッサージ。
 でも、ナナは水浴びで
 「嫌な事は、風呂入ってサッパリするチュチよー」
 と思っているのかも知れません。

 りんは少し早めに寝かせて、ナナに
 「ナナ、これからは大人の時間だよー」
 と言って、ゆったりする時間作ってあげました。
 でも、ナナも疲れていたのか、ほとんど寝てましたけどねー。

 人間の子でも、弟妹と歳が離れると大変と聞きますが
 ナナの行動を見ていたら、人間も動物も同じだなーと
 つくづく感じました。