ナナとユリ

 お庭に綺麗な百合が咲いたので花瓶に挿しました。
 とりあえず、テーブルの上に置いて、

 アラッ? これだけ葉の形と色が違うわね。
 この変に、蒸し暑い天気のせいかしら?

 って、ナナちゃんじゃないの!
 そんな所で何してるの。 

 クンクン、クンクン。
 「ママー、いい匂いがするチュチ。
  ボクにも食べさせてチュチ」
 百合が折れることもなく移動するナナを見て
 ママは羨ましく思って声をかけた。

 「ナナちゃん、それは百合というお花なのよ。
  とっても素敵な香りでしょ。
  でも、食べられないのよ。
  そ・の・か・わ・り

 「ママ、これ最高においしいチュチです!
  やわいニンジンだと思って食べたらしゅごく甘いチュチ!
  なんかトロピカルでジュピよー」

 「ナナ、それは沖縄のマンゴーよ、うちはセレブだから
  食べられるのよ」
 (本当は頂き物です……)