甘えたかったの……

 昨日、ナナとりんを連れて実家に行った時の事。
 じーちゃんが
 「ナナ、どうしたんだ、そんな顔になっちゃってー」
 と言ってしまった。
 それは決して悪気がなく、大丈夫なのかい?って意味で言ったと思うのだけど
 ナナが異常に気にし始めた。
 水浴びをさせろと言い、コップの水をのぞき始めた。
 やっと腫れがひいたので、濡らしたら傷口に悪いかと思い、自宅のも水を少なめに入れていた。
 ……必死に探し回るナナを見て、
 「少しだけだよ……」
 とやらせてあげた。ナナも心得ているのか少しずつ頬の部分に水をかける。
 そして、高い場所でお手入れしていた。

 その時の顔がこれ。
 この顔を初めて見る人には痛々しく感じるだろうが、かなり綺麗になってる。
 じいちゃんに
 「ナナ、お顔キレイになってきたなぁー」
 と言ってもらい、少し落ち着いた様子。
 その後、じいちゃんの後を追っかけていたようだ。

 そら『りん、アンタあたちに、ガブしないでよ!』
 りん『………』

 そら『ナナお兄タンが怪我したのは聞いていたけど、
    りんタンまで怪我したなんて初めて聞いたでしゅよ』


 りんは流石に若いからか、傷の治りが早い?
 翌朝薬をつける時には赤くなったのは消えていたが、念のため薬をつける。


 少しは大人になったかなと思ったりんだが、突然ガブリとする。
 ナナに相手にされない時、ケンカになって仲介に入った時、
 遊んでいるものを取り上げる時……
 日中は捕まえるのが一苦労。
 薄いストールで捕獲する。なかなか捕まらないが、観念して捕まる。
 すると、まるで動かなくなる。
 そんな時、お顔のマッサージをしてあげる。
 なんだか今日はおとなしい。
 夫に頼んで、そのストールを首に巻いてもらう。
 そして、りんをそこに入れてみた。
 それは、りんが幼少の頃に実家の母に寒さ対策でされていたこと。
 私が昼食を食べていても、後片付けをしていても、りんは
 首にはりついたまま、多少はピョコッと顔を出すものの
 逃げ出す事はしなかった。

 1時間も経っただろうか。
 少し寝ぼけた顔で、体を動かし始めた。
 きっと、こんな風に甘えたかったのだろうか。
 少し考えさせられた。