鳴かない『そら』

 実家の母が「そら」をお迎えした翌日、母から電話が……
 「そら、全然ゴハン食べないんだー」
 「そして全然、鳴かない」
 との事。
 ペットショップに電話をしたら、
 『環境が変ったせいかも』
 『もう粟玉ではなくて普通のエサが良いかも』
 とか言われ色々試してみたそうだ。
 かろうじて、「ゆで卵の黄味」をエサに混ぜると好きなのか
 そればかり拾って少し食べては、すぐ眠ってしまうという。
 これでは体力が落ちるのをただ見ているしか出来ないので
 私がりんの為に買っておいた「フォーミュラー」を飲ますことにする。
 そして、飲ませる前と飲ませた後の体重を量るように言った。


 翌日、めまいが少しする母に変わって私が病院に連れて行く。
 りんの時と違って、全然プラケースで暴れない。
 待合室で順番を待つ間、色々なことを考えた。
 「もしかして呼吸器系に異常があり鳴けないのでは」
 「体に悪い菌があってそれが原因かも……」
 とか……


 先生がそらを抱いてすぐに
 『脱水症状おこしている
 犬なら点滴できるけど、インコには注射しかできないから、
 衰弱しているからショック死が心配。
 稀に注射ですごく元気になる子もいるけど……。
 検査の結果、他には今の所異常はないと聞き、ほっとする。
 とりあえず注射はやめて、薬を出してくれた。
 1つ目がハーブを抽出した喉や胃を保護する薬
 2つ目が人間が飲む「ユンケル」みたいな栄養剤
 ローヤルゼリーも入っているらしい(私でも飲んだことないのに)
 そして会計を済ませ、実家へと戻りました。



 実家ではナナとりんがそらの病気を心配していました。
 「ベビーっちのそら、元気になれたチュチかねー?」
 とナナが。

 「初めての病院で暴れなかったチュピでしゅか?
  りんは、ちゃんとおとなしくしてたチュピよー」
 (あらあら、りんちゃん、そらが何も知らないと思って!) 

 そらは疲れたので潜って寝てしまいました。
 でも、ナナとりんの声を聞くと、か細い声ですが
 「チュチュ」
 と少し反応するようになりました。
 家族がいると思ったのでしょうね。


 そして献身的な介護?病院の薬?のお陰か、2日後にそらは少しずつエサを自分から食べるようになりました。
 でも時々吐くので「もう駄目か」と思い母は胸が苦しくなったそうです。
 きっと、愛犬ルークの記憶も思い出されたのでしょう。


 吐いた翌日また病院に連れて行き、状態を説明し違うお薬にしてもらいました。
 そして食べられるようになったら、今度は便が軟くてまた病院へ。
 今度は人間の「ビオフェルミン」と「わかもと」を合わせたようなお薬を処方されました。
 一時は36gだったそらも、39〜40gになってきました。
 まだまだ痩せすぎのそらですが、飛ぶことも覚えました。
 とりあえず、そらも大きくなるために懸命に頑張っています。
 

 余談ですが、ペットショップさんが「治療費を出します」
 と言ってくれたのですが断りました。
 でも、あのまま売れ残ってお店にいたら確実に「落鳥」していたのでは
 ないかと思います。
 お店も1羽の為にかかりきりになれないし、ブリーダーさんの引き渡す時のヒナの健康状態とか調べる事も出来ないだろうし難しいところですよね。
 お金はかかるけど、小さな命を守ってやりたいと思ってます。
 幼くして亡くなったキキの為にも……。