キキちゃんへ

 キキちゃんへ



 キキちゃん、あなたはヒナの頃からとっても元気の良い子でしたね。
 ママとは理由があって、別のお家で暮らしていたけど、会うたびに成長しママを喜ばせてくれましたね。
 ママはずっと、あなたを見ていてあげられなかったこと、少し後悔しています。
 きっと、キキちゃんは、おばあちゃんがママと思っているでしょうね。

 入院した夜、キキちゃんはお薬が効いて元気になってきたので、明日はキキを迎えに行って、ママがお薬を2時間置きに飲ませてあげようと思っていたのよ。

 まさか容態が迎えに行ってから急変するなんて思っていなかったから、ナナ兄さんはお家でお留守番させたのよ。

 キキちゃんが酸素室から出たい、出たいと動き回った気持ち、ママもおばあちゃんも、すぐ抱締めてやりたいほどわかったよ。

 でもキキちゃん、酸素室から出したら、余計苦しめると言われたから我慢したの。
 若いお兄さんが酸素マスクみたいなの急いで作って持って来てくれたけど、動かすのも可哀想だったね。
 先生は、注射する方法もあったけど、ママは断ったよ。
 正解だったね、キキちゃん。
 キキちゃんも、注射みたら先生の手をガブガブして、きっと断ったよね。

 ママの
「キキちゃん、キキちゃん、そばにいるからねー」
という声、ちゃんと聞こえていたかな?

 苦しそうに呼吸しているのを見て、「頑張れ」とは言えないし、ただ名前を呼ぶしか出来なかったの。本当は抱っこしてあげたかったのだけど、ごめんね。


 キキちゃんが、もうお口を開けてくれなくなって、おばあちゃんはもうその前から泣いていたけど、ママは涙が出なかったの。

 先生が白い布にキキちゃんを包んでくれて、待合室に行って会計済ませて、キキちゃんのお薬係担当してくれて若い先生が、キキちゃんへと小さい花束作ってきて渡してくれたのよ。
 もう、それからママはダメダメママになってしまいました。


 キキちゃん、新築マンションに半日しか入居できなかったね。
 ナナ兄さんとも、色々探検ごっこも出来なかったね。
 ママは、今ごめんなさいしか言えないけど
 早く生まれ変わってきて、今度は長生きしてね。

 短い間だったけど、ありがとう、キキちゃん。

                      ママより